m-sms 2018

武蔵大学社会学部メディア社会学科2年次:メディア社会学方法論・松谷ゼミによる年刊ウェブマガジン

スタバ流・流行術──流行りをつくったのは誰か

written by 細倉 舞[edited by 清水 千勢]

スターバックス、人気はどこから

 国内最大のコーヒーチェーン、スターバックス。通称スタバの人気は今や街中だけでなく、SNSまでにも広がってきている。

 昨今、InstagramTwitterなどのSNS上では毎日のように、「スタバ」「~フラペチーノ」「新作」等つぶやき、写真が投稿されている。スタバのマークが描かれているカップが印象的だ。だが日本には、チェーン店のカフェはたくさんある。そのなかでもなぜスタバはSNSで人気が高いのだろうか。

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SNSスターバックス

 ここで国内のコーヒーチェーン店の店舗数と売上を比較してみる。ドトールは1124店舗、売上はおよそ127億円。ドトールに続いて、コメダ珈琲タリーズは約700~800店舗となっており、売上はそれぞれ56億円、27億円となっている。そのような現状のなか、スタバは日本に上陸して22年目となるいま、全国に1342店舗を構え、直近1年間の売上はおよそ1700億円と圧倒的な存在感を誇っている*1

 だが、不思議なことにスタバの広告、宣伝を目にすることは少ない。それはスタバのマーケティング部門は、広告万能主義の立場をとらないからだ。広告をすれば売上が必ず増加するという信頼の仕方はしないというスタンスである。

 スタバは立派な広告にお金をかけるよりも、マーケティング資金の多くを商品開発や店内環境の整備に使っている。これらのように顧客の体験にこそお金をかけることがスタバのマーケティングなのだ。

 広告にお金をかけないスタバの商品はいったいどのように話題になっているのだろうか。カギとなるのはSNSだ。それぞれのチェーン店のInstagramの投稿数に注目してみた。「#店名」で検索してみた結果、スタバが約206万件、コメダが374万件、タリーズが300万件、ドトールが152万件の投稿数となっていた(2018年5月21日現在)。圧倒的にスタバが多くSNSに取り上げられている。

SNSに投稿したくなるメニューとは

 またスタバの投稿を詳しくみてみると大半がフラペチーノであった。フラペチーノとは、牛乳やコーヒーなどに氷を合わせたものでシャリシャリしているのが特徴だ。コーヒーを普段から飲む人と飲まない人の両方、つまりは誰にとっても魅力的な商品であったことが人気につながった。いまでは毎月一回くらいの頻度で新作のメニューが発売されている。

5月に発売された「エスプレッソ アフォガート フラペチーノ」
エスプレッソ アフォガート フラペチーノ

 スタバのフラペチーノは見た目がよく、インスタ映えする商品だ。実際にインスタに投稿、ストーリーにアップしている女子大生になぜスタバの飲み物をSNS上にあげるのか話を聞いてみた。

「スタバの新作は他のカフェとかと違って売切れることがあるので、飲めた喜びでついすぐにインスタにあげちゃう。あげたことでまだ飲んでないまわりの友達とかに『スタバの新作どうだった?』と聞かれてなんか自分最新のもの飲んでるな~と感じる(笑)」

SNSにあげることで自分も新作飲んでいることをアピールしたいし、なんかスタバに行ってる自分っておしゃれになった気分!」という意見が見られた。

 最近の若者は、自分の生活が充実していることのアピールの道具としてスタバを利用しているように思われる。スタバにはブランドがあり、スタバにいるだけで自分の価値があがるという考えができているのではないか。

 このように多くのひとがSNSにアップするため、広告に力をいれなくても、人々はSNSを通じて新商品を知り、購入に至るのだ。

新・フラペチーノ戦略

 しかし、フラペチーノの人気は10代20代の若者だけにすぎない。この問題点にスターバックスは頭をかかえていた。大人たちにとってフラペチーノは甘すぎるのだ。

 このような現状にスタバは若者だけでなく大人にも楽しんでもらうために、5月9日に「大人フラペチーノ」を発売した。普段、新商品はトールサイズのみの販売だが、この大人フラペチーノは少し飲みたい人でも購入できるようショートサイズも販売している。このように幅広い世代に楽しんでもらえるようスタバは常に新しい商品を生み出している。

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 インスタでは、スタバのフラペチーノは注目を集めるアイテムとして若者にとって貴重な存在なのだ。スタバはSNS上での価値が非常に高い。いまでは「スターバックス」というブランドが構築されている。スタバにいる自分がおしゃれであり、スタバの商品を買って持っていること、流行りのもの(新商品)を飲んでいるということがお客さんにとっては満足感を得られるのではないか。そのようにブランドがあるため、購入したお客さんはSNSにのせることで「自分スタバ飲んでます!」アピールができる。そのことを上手く利用してスタバの宣伝は成りたっている。人から人へスタバの人気は伝わっているのだ。今後もスタバの人気が衰えることはないだろう。

*1:『日経スペシャガイアの夜明け』「コーヒー新サバイバル!」(2018年5月14日放送/テレビ東京)。