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武蔵大学社会学部メディア社会学科2年次:メディア社会学方法論・松谷ゼミによる年刊ウェブマガジン

大学生が大学生に聞くカジノへのキョウミ──等身大だからこそ見える現状

written by 松本 祐太郎[edited by 石橋 杏樹]

 私は映画が大好きで、暇さえあれば映画を観てしまう。そんな私が観た映画の中で印象に残っている作品が『ラスベガスをぶっつぶせ(原題“21”)』(2008年/ソニー・ピクチャーズエンタテイメント配給)だ。

『ラスベガスをぶっつぶせ』
『ラスベガスをぶっつぶせ』(2008年/ソニー・ピクチャーズエンタテインメント

 実話を基にしたこの映画は、マサチューセッツ工科大学の学生が緻密な計画によってカジノでボロ儲けする話である。私はこの映画を見てからカジノにとても興味を持つようになったが、今までの日本ではカジノに行くことができなかった。そんな中、私の夢を叶えてくれる出来事が起きた。統合型リゾート(IR)整備推進法、いわゆるカジノ法の成立だ。

20歳から遊べるカジノ法

 日本にカジノができるかもしれないビッグイベントに触れる前に、まずはこのカジノ法について押さえておくべきポイントが2つある。

 一つ目は入場料と入場制限だ。入場料は、シンガポールの大型リゾート、マリーナベイ・サンズの8000円を参考にしたうえで、日本との一人当たりのGDPを比較し6000円で合意した。入場回数の制限は、週3回かつ月10回までを上限とし、少し厳しい設定のようにも思える。

 しかし、カジノを設置するうえで最も懸念されるのは、ギャンブル依存症だ。国立病院機構 久里浜医療センター「国内のギャンブル等依存に関する疫学調査」(2017年9月29日)の調査報告によると、「ギャンブル等依存症が疑われる者」の割合は成人の3.6%にも及ぶ。これは人口に当てはめると、およそ320万人ものギャンブル依存者がいるという結果になるため妥当な制限ではないだろうか。

 二つ目は年齢制限だ。年齢制限は現在20歳未満の入場を禁止する方向で目途が立っている。20歳から遊べるとなると、ちょうど大学生の年齢層と被ってくる。私はカジノができたらもちろん行くと思うが、果たして車離れや旅行離れなどと騒がれている日本の大学生はカジノに行くのだろうか。

アンケートから見る大学生の現状

 いま私が大学生であることから、実際にまわりの大学生に聞いてみることにした。今回「大学生200人を対象としたアンケート」を実施することでカジノへの関心度を調べた*1)。このアンケートでは、ギャンブルをパチンコ、競馬、競輪、競艇オートレース、麻雀、宝くじの7種に定義した。質問は主に、過去にギャンブルを遊んだことがあるか、その頻度はどれくらいか、カジノができたら行くか行かないのか、カジノに持つ印象は良いか悪いか、などである。

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 アンケートを取ってみることでいくつか分かったことがある。

 まず、ギャンブルをしたことがあると答えたのが200人中100人と、2人に1人がギャンブルをしたことがあるということだ。これは実際、多いように感じるかもしれないが重要なのはその頻度である。ギャンブル経験のある100人のうち、月に1回以下と答えた人は69人と、半数以上を占めた。大学生の中には社会勉強としてギャンブルをする人や年末ジャンボ宝くじだけ買う人が多く存在することがわかった。

 そのため、「宝くじを遊ぶ回数が月に1回以下」という人を除くと、100人から68人になり34%まで減少した。月に2~3回以上行くと答えた人数は全体の16%ほどで、私が想像していた人数をはるかに下回る数値となった。

 また、日本にカジノができたら行くと答えた人の割合は200人中69人で35%と、半分以下の割合にとどまった。カジノに持つ印象については「やや悪い」と「とても悪い」が56%も占め、半数以上がカジノに良い印象を持っていないという悲しい結果となった。そして面白いことに、カジノに悪い印象を持つ男女の割合は、男性は男性全体の45%で、女性は女性全体の76%と、女性のほうがカジノに悪い印象を持っているということがはっきりと分かった。

カジノだけが持つ魅力

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 アンケートの集計結果から出た答は、今の大学生はあまりギャンブルをせず、なおかつカジノに悪い印象を持つ人のほうが多いという、カジノにとって深刻な状況であるということだ。

 今回大学生のカジノへの関心度を調べることで、若者はギャンブルをせず、カジノに興味を持つ人が少ないということが分かったと同時に、今後日本にカジノ

ができた場合盛り上がるのだろうか、という疑問も私の中で生まれた。

 たしかに、アンケートでもわかったように、日本でのギャンブルに対するイメージはあまり良いものではない。とは言え、ギャンブル=依存症と結びつけるのではなく、適度に遊べば映画やゲームなどと変わらない娯楽だということを忘れてはならない。

 そして、カジノがある統合型リゾートでは映画や食事、ショッピングもできる。オシャレな雰囲気を味わいに見に行ってみたり、デートのついでに少し遊んだり、ディナーを予定より少し豪勢にするために……などいろいろな関わり方ができるのがカジノの魅力であろう。今後のカジノ法案の動き次第ではもっと魅力的な施設になるかもしれない。友人と一緒にカジノに行くことができるカジノブームの到来は、そう遠くはないのかもしれない。

*1:大学生がカジノに持つイメージを把握することを目的とした調査。調査対象は現役大学生200人(内訳は男性116名、女性84名)。調査方法はアンケートを紙とデジタルで用意し配布。調査期間は平成30年5月21日から平成30年5月25日まで。調査場所は主に武蔵大学日本大学生産工学部津田沼キャンパス前千葉工業大学津田沼キャンパス前